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南京好日『朋アリ遠方ヨリ来タル』(1)

ブルンディ、って知っていますか?

ぼくは彼と会うまで、
恥ずかしながら知らなかった。

“彼”とは、ぼくの南京師範大学での留学生活、
はじめての住居であった留学生寮806号室の同室、
ティスマスのことだ。

ティスマスは中国政府の国費留学生として、
中央アフリカの小国、ブルンディからやってきた。
身分は研究生(大学院生)、期間は4年。

ブルンディ、その国は
泰平の世をむさぼる日本とは全く違う。
ティスマスの国は、
ついこの前まで 二つの民族が血を血で洗う内戦を繰り広げていたのだ。

長年、争っていた二つの民族の間で
2000年8月には、和平合意が成立し、
2001年11月には、同合意の枠組みの下で暫定政権が発足した。

しかし、停戦合意未署名の反政府武装勢力などが
まだ、首都周辺でテロ活動を行っており、
多数の市民が犠牲になっているという。
日本の外務省の海外渡航安全情報によると、
ブルンディには渡航延期勧告がまだ出されている。

ティスマスは、そんな祖国にお父さんと兄弟がいる。
ティスマスを長男として、次男三男、長女と続く。
兄妹は皆、国で働いているという。

しかし、彼らのお母さんは、いない。
民族の戦争は、ティスマスから母親を奪ったのだ。

中国政府はアフリカの小国に対して、
国費留学制度を設けている。
そして、その奨学金を受けて、
中国の大学で多くのアフリカ人が学んでいる。

彼らは一年間中国語を勉強した後、
専門科目を学ぶため、、
各地の大学に散り、勉強を数年続けている。
南京も、そのような留学生受け入れの大学があり、
南京師範大学もその一つである。

そうして、祖国に母への想いと、
父兄弟を残してティスマスは中国にやってきたのだ。
初めての外国、初めてのアジア。
彼にとって、中国での生活は大変なものだったという。

まず、漢字が分からない。
そして、中国人はもっと解らない。
文字の奇怪さに悩み、 文化の違いにとまどいながらも、
ティスマスは努めて明るく振る舞ってきた。

ティスマスが中国にやってきて半年が経ったころ、
留学生寮の同室として、ふらりと日本からやってきた留学生、
つまりぼくと出会ったのだ。
それまでいなかった806号室の初めてのルームメイトとして。

ぼくにとって、アフリカ人との出会いは意外だったが、
ティスマスにとっては、
日本人との出会いも思いがけないことだっただろう。

(つづく)

written by Bonkora

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