それぞれの方言
第一回 山西方言1

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山西と言えば石炭、石炭と言えば山西省。
それほどこの省は石炭生産の土地として有名。省都の太原を除き、列車で移動していると
窓から飛び込んでくる景色は見れども見れども石炭ほりほりしている風景ばかりである。
街も石炭のほこりまみれであり、雰囲気はかなりよろしくないし、そんなとこに長く住めば
早死にできそうだ(^-^;;

そんな山西省には方言が84も存在するらしい。ひとまとめに言うなら”晋語”というのだが、
同じ方言でも都市によりそれぞれ違った言い方や言い回しが存在する。
北と南では言葉に顕著な違いがあるのも特徴。ちょっと下の表を見て欲しい。

下の表は山西省のそれぞれの都市における儿化韵(舌をまく音)と母音が方言に含まれる数を
あらわしている。

方言地 儿化韵 基本韵母 方言地 儿化韵 基本韵母
北区 大同 14 37 南区 運城 37 40
陽高 8 37 永済 23 41
天鎮 4 36 臨掎 36 40
懐仁 16 35 万栄 32 35
左雲 16 37 侯馬 25 37
右玉 12 36 夏県 35 37
応県 12 39 聞喜 30 36
山陰 9 39 稷山 14 36
繁峙 7 38 絳県 24 36
忻州 11 47 襄汾 25 37
定襄 4 45 浮山 29 41
原平 21 42 古県 26 42
五台 11 41 洪洞 26 43
代県 4 40 臨汾 23 41
朔州 15 38 中区 太原 5 36
平魯 13 39 楡次 4 31
(シ軍)源 10 39 太谷 7 40
霊丘 15 39 平揺 31 35
神池 19 37 孝義 14 42
寧武 36 36 介休 20 37
五寨 36 36 楡社 7 38
(山+可)嵐 35 35 類煩 21 36
保徳 40 40 孟県 8 38
偏関 36 36 陽泉 12 38
河曲 42 42 昔陽 13 36
東南区 長治 8 36 和順 13 37
屯留 25 46 左権 13 34
長子 8 44 西区 霊石 11 34
晋城 16 40 蒲県 22 50

ざっと表を見て何か感づいてくれただろうか?赤字にして分かりやすくしてみたが、
北と南では”儿化韵”の多少が違うことに気づいてくれたと思う。若干北区にも高い数字が出ているが全般的には北は
”儿化韵”が少なく南にいくにつれて”儿化韵”が多くなる
ということが表から分かるのである。
山西省の南区の人々の方言にはかなりの”儿化韵”が存在する。これは思いもよらなかった事実だ。

これはどういったものが原因してこうなったのか?残念ながら今回調べたものでは分からなかった。元々漢民族の王朝が
使ってきた統一言語には、”儿化韵”がなかったのになぜこの地域の方言には存在するのか?この結論は次回以降に持ち越したい。

山西方言には少なくとも69個の県の方言に”儿化”が、12個の方言に”儿尾”(最後が儿で終わる)が存在し、いくつかの
方言には”儿化”や”儿尾”すら存在しない(例:霊石、汾西、静楽、石楼、沁水、郷寧等)。

具体的に地区ごとの特徴を挙げると、東南地区の陽城・晋城・陵川・和順方言には”子尾変韵”というものがある。
”子尾変韵”というのは、言葉の後ろに”子”が来た時前の字の読みかたが変わるというものである。これは
河南省の山西省と隣り合っている原陽・荻嘉一帯に存在するものと同じである。例えば、
(原陽)鼻pi⇒鼻子piou 卓tsuo⇒卓子tsuau 茄tsie⇒茄子tsiau (目害)cia⇒(目害)子ciau

次に南区の中原北方方言地域である夏県・運城・平陸・臨掎にも”子尾変韵”がある。これは山西方言である晋語と同じ点。
臨汾、洪洞等の方言には”(イ老)”(普通話ではlao3)という言葉がマイナスイメージないやなもの・人を表す。あるものには
純粋に人を罵るのすらある。北区では人を罵る時等に”猴”という言葉を言葉の語尾に用いて人を表現したりする。

同じ省でもこれだけ言葉が違ってくるのであるからたまらない。これが全国で見ればどうなるかは容易に想像できる。
次回はちょっと面白い山西方言の言い回しを紹介してみることにしよう。

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