「中国の弱み」が見えれば道が開ける
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中国を知ることの重要性
連日、新聞紙上をにぎわす中国の名。
我々日本人は、少し、その勢いに臆しているのではないか。
ジャパン・アズ・ナンバーワン──世界に名をとどろかせた日本は、バブル崩壊以降、長期に渡って上昇気流に乗れていない。一方で、あの中国が活況を呈す。我々日本人は、焦りやもどかしさ、打つ手に乏しい現状に直面している。それを尻目に躍進する中国に我々は少々臆しているようにも感じる。
なぜ、臆するのか。それは、民主主義かつ資本経済の日本人にとって、同体制のアメリカが繁栄することは理解できるが、共産主義かつ市場開放経済の国家の後塵を拝すことを受け入れられるだけの教育を受けていないからである。
しかし、よく考えてみれば当たり前である。国土が広い、人口が多い。これは、企業に例えれば、経営資源の量的な差に等しい。そして、中国は第二次世界大戦により戦勝国のポジションからスタートした。経営資源の差だけでなく、アゲインストの風を受けることなく中国はスタートしたのである。
一方、日本は、経営資源が乏しいだけでなく、第二次世界大戦により戦敗国としてのポジションからスタートし、アゲインストの風を受けながら船出している。従って、むしろ、これまで中国が日本の後塵を拝していたことの方がおかしいのであって、戦後、60年たってようやく事態が正常化したとも言える。
世界第二位に躍進したGDP、世界のレアアースの95%を供給、外貨準備高世界一、北京オリンピック、上海万博など、連日、好調で勢いのある今の中国は、大国である国家でありながら、あまりにも遅い春なのである。
では、今の中国の躍進が当然のこととした場合、その危うさに目を向けると面白いことが見えてくる。
危うさについて話を進める前に、まず、中国が大切にしていることを確認する必要がある。それは何か。
第一に国民の飼い馴らしである。その数、10億を超え、現在、世界人口が70臆人とも言われている人類の15%を制御することである。ローマ史を始めとする歴史上の数々の失敗を教訓に、国家統制に膨大なエネルギーを注ぎ、中国共産党の覇権を維持することが最も重要である。
しかし、そんな覇権国体は世界でも稀であり、国際社会では異質感がどうしても拭えない。国際社会で中華思想をもとに存在感を強めるあまり、異質性が際立ってしまい、各方面でニュースになるのである。
例えば、ノルウェー・ノーベル賞委員会が中国の民主活動家、劉暁波氏への平和賞授与を決めたことを受け、中国がノルウェー政府に報復措置を発動した件、政治的に共産党体制を批判され、それを受容すれば、国内で大きな禍根を残すことになる。だから、ノルウェーのみならず、国際世論を敵に回してでも己の理論を振りかざす。中国が国体を維持するためには、例え、国際的な評価を失ってでも、国内を絶対的に制しておく必要がある。全ては、中国共産党にとって都合のいい国内世論を形成させるためのものである。
資源についても同様である。既に、解放経済で国民が贅沢を知ってしまった以上、今後も同体制を維持していくためには継続的な発展を促す必要がある。つまり、沿岸部の経済奴隷には経済基盤を失い貧困層に戻る怖さと安定を知らしめ、内陸部の貧困層には沿岸部同様の発展を夢見させ、10億総経済志向により、体制批判を封じ込める。政策上のロードマップは永遠と続いているのである。
元安誘導のために生じた副産物「備蓄外貨」を元手にし、これを眠れる資源大陸アフリカ諸国に投資したり、海外資源を買いあさったりする。東シナ海、南シナ海で他国の領土を狙う。これらは10億人の経済活動に必要な資源を確保するための活動である。
そして、最重要視している国民の飼い馴らしに対して、かなりの劣位にあるのが第二の要素国際的なポジションの確保である。例えば、ノーベル賞の件でノルウェーとの政治的関係を悪化させる。国内統制を最優先にしている以上、国内と国際の両立を実現させる術はなく、中国にとっては致し方がないのである。
そして、中国のこのようなスタンスは、ノルウェーのみならず、諸外国は織り込み済みなのである。なぜなら、中国がWTO加盟国である以上、露骨な経済的断交は行えない。いくら政治的関係が悪化したとしても、中国が特定の国に対して経済的制裁を発動することは不可能であり、制裁を行なわないことは国内に対しても十分に説明のつく話である。従って、政治的、交流事業的レベルでの一時的な関係断絶の間も、経済レベルで国同士の関係を繋ぎとめておき、冷却期間を経て正常化に戻す。
碁で言うならば、いわば、中国戦の定石を各国は知っているのであり、それを踏まえて諸外国は戦いに臨む。今の外務大臣の前原氏も、内閣では数少ないこの定石を知っているからこそ、ノルウェー外相と同じような強行発言ができるわけである。
一方、残念なのは、日本人の多くがこの種の定石を知らないことである。先の尖閣諸島の事件では、私が知る各団体のリーダー、例えば経団連会長、例えば公明党党首、そしてこの方は有名になったが沖縄地検次席検事が報道陣に対して定石を知らないままに投了的な発言を行っている。定石を知らずしては戦いを知らずであり、中国の一挙手一投足を受け止めるだけで精一杯になるのは分からなくはないが、そういう輩が分をわきまえずに国の外交にコメントするのはよろしくない。
話を戻すが、中国は国際関係をかなりの劣位に置いたとしても、中国は国際的な評価を落としたとしても、絶対的な安牌を確保している。日本が安保で成り立っているように、中国も国としての安全保障を確保する仕組みを敷いているのである。それは、国連の常任理事国、核兵器、北朝鮮、ロシアといったカードである。これらは、中国が国内重視のあまりに諸外国に対して強攻策を取ったとしても、国際社会が中国を放っておけない仕組みである。
いよいよ、本題に入ろう。中国の危うさ、それは10億人を要する国民である。そして、この国民に根深い不満があることは、先の尖閣諸島の事件の関連で国内でデモ活動が起こった際の中国国民の行動が証明している。
国民の間に不満があっても、一体化して行動できない体制において、国外問題、例えば、尖閣奪還と銘打ったデモならば、これが暴徒化しても、中国政府報道官が一定の理解を示すぐらい、穏便に扱ってくれるのである。内国に起因する不満は完全に封じ込められる国において、大目に見てくれるのである。国民にとって、唯一許されるはけ口がこのようなデモ活動であれば、この活動はまさに庶民祭事であり、参加意識が高まらないはずはない。中国でのデモ活動は体制への不満が根深いことを浮き彫りにしていることに他ならない。「ほら、国民も怒っている。」と内外に示し、政治的判断の後ろ盾にしようとする意図は、一方で国民の不満が鬱積している実情をあぶり出しており、危険をはらんでいるのである。
そして、この国民の不満は、国内経済が不調に陥れば一気に爆発するのである。不満があっても生きる代償として我慢する。不満があって生きる代償もなければ、我慢する理由はないのである。
中国経済が躍進する一方で、対外的な政治的、体制的異質性を表面化させ、アンチ中国の風が吹き荒れれば、「世界の工場」という名を予定よりも早く明け渡すことになる。すると、瞬く間に、国内の経済発展が窮地に陥り、先の危うさが現実のものとなるだろう。これが今の中国の最大の脅威であり、最大の弱みである。
よって、我々日本人は、かつて、アメリカという大国に挑み、ジャパンアズナンバーワンをとどろかせたように、中国に対しても、我々の強みに磨きをかけ、勇気を持って挑むべきなのである。我々が進むべき道はすでに開けているのである。
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